加湿器の選び方　　購入のための基礎知識

加湿器の選び方

インフルエンザ予防を中心に
加湿機購入のための基礎知識ガイド
かぜ・インフルエンザ予防、子どもの安全に重点を置くページ

■加湿器の効用

●インフルエンザ対策

・加湿によって部屋内のウイルスを弱める
冬にかぜがはやるのは、湿度がぐんと下がり、冬タイプのかぜウイルス（低湿度が好き）が活発になるため →湿度を上げると事実上の「殺菌」になる。

・鼻・のどの粘膜を潤し、ウイルスの侵入を防ぎやすくなる
朝起きた時、のどがカラカラしない　

●乾燥肌対策

・肌がカサカサしにくくなる　　皮膚の乾燥軽減（美容）

・重症(アトピーなど）ですでに乾燥してしまってかゆい場合は、入浴のほうがてっとり早い解決策らしい＋保湿クリームで蓋をする

●そのほか

・結膜炎予防

・花粉症　　湿度が上がると、花粉が重たくなって落下。ただし床掃除（吸引）を怠ると、乾燥したときに再び舞い上がる

・同じ室温でも湿度を上げると暖かく感じる　湿度を20%上げると、体感温度は1度上がる
湿度が低い(部屋が乾燥すると)、体表からの蒸発が増えて気化熱を奪われる

・エアコンは、部屋をかなり乾燥させるタイプの暖房なので、エアコン使用時は加湿器を併用するとよい。（石油ストーブなどは実は水分を発生するので、乾燥しない）

・部屋が潤う

■加湿とインフルエンザの基礎知識

湿度0% 　← 40～60%　 →　 100%　　　　

ウイルス　　快適50%前後　　ダニ・カビ

寝室の適正湿度は50%

・湿度70%～でダニが増加。湿度80%～でカビが増加

・インフルエンザウイルスを防ぐためには湿度50～60%
湿度50%でウイルスの生存率が急速に低下。湿度50％で10時間後にほぼ全滅。G.J.Harper
湿度35％以下は1日経過してもまだ生存

・厚生省「インフルエンザQ&A」より引用：
「Q.９：　インフルエンザにかからないためにはどうすればよいですか？
インフルエンザを予防する方法としては、以下があげられます。１）　流行前のワクチン接種　…　２）　外出後の手洗い等　…　
３）　適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度（50～60％）を保つことも効果的です」

・ただし、湿度を上げすぎると結露・カビ。
・両方を勘案すると40～60%ていどが快適
・加湿機のおまかせモードは湿度60％ぐらいをキープ。ただし、これでも部屋の局所的には80%ぐらいになってしまうこともあるそうで、黒カビなどが発生することも。湿度の高そうな場所に加湿器（の湿度センサー）があれば、少しましかも。
なお黒カビは普通は健康への影響あまり大きくない。カビは発生すると、最低でも半年は生きている→消毒用アルコールなど（薬局で販売）。黒カビが生えたカーテンは漂白剤で洗う。
（結露防止：家具は壁から5～10cm離す。すのこなどで床から2cm浮かす）

加湿器を、暖房の風や日光が当たるところには置かない。湿度センサーが正しく働かないため

・「湿度が40パーセント以下になるとウイルスの水分が蒸発して軽くなるため、落下速度はゆるやかになり、約30分間、空気中を漂う」　浜松市立麁玉小学校より

・「１回のくしゃみで約２００万個、咳で約１０万個。これはインフルエンザにかかった人が飛び散らす唾（だ）液（えき）の小さな粒の数。この小粒子（飛沫）の中に無数のウイルスが......。...まあ２―４メートルぐらいが危険範囲.....。７５％はドアノブ（接触）感染......、重要なのは鼻のコンディション......。...線毛の動きを鈍らせるのが、...冬の低温乾燥。...ドアノブ感染...。「それは５分間に３回以上、人は無意識に鼻を触る習性があるから」（久保准教授）......。手を鼻に触れさせないのも実はマスクの大事な役目」夕刊フジBlogより　ドアノブ感染は「接触感染」とも

・鼻をかんだティッシュは「感染源｣。きちんとゴミ箱へ。すぐに手を洗う(ウイルスを洗い流す)　朝日09/1/25s3

■加湿しすぎ等にも注意

加湿器を使っている人には、むしろ加湿しすぎの人が多いとのこと。湿度センサー付きの機種をどうぞ。人間の主観的湿度判断はとても不正確

洗濯ものの部屋干しは、放出される水蒸気が結構多くて有効。観葉植物や水槽から出る水蒸気では不足

浴室を開放しておくのは、洗面所にどっと結露して、カビ発生のもと。すすめられない

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各社カタログ

■加湿器の４タイプ

種類	原理	清潔	子どもの安全(やけど)	価格	性能	電気代	特徴
×スチーム式	ヤカンの蒸気(沸騰)	◎	×熱風 65度以上	◎	◎	×	危険(やけど)　はやい　安い　清潔　　電気代は高い　室温上昇、沸騰音がぼこぼこするが不快な音ではないかも　勢いよく湯気が上昇するのが見える、小型
○気化式	濡れタオルに扇風機	△	◎　冷風	△　＋フィルター代	△	◎	省エネ　非力（改良型はOK）蒸気は冷風ひんやり、冷風扇と同じなので冷房となりわずかだが室温下降　遅い　大型　送風音　湯気(蒸気)は見えない
◎ハイブリッド式 (温風気化)	濡れタオルにドライヤー(温風) orお湯タオルに扇風機	△	◎　温風 (室温＋2度)	△　フィルター代	○	△	折衷機にして主流。電気代高め　(省エネモードにすると、気化式となり電気代は安いが能力も落ちる)　はやい　「強」なら蒸気はやや温風　中型　送風音が気になる　湯気は見えない
×超音波式	霧	×	○　冷風	○	○	◎	不潔(カビ・雑菌を部屋にまき散らす)　　インテリア性が高い、霧が上るのが見えておしゃれ　静か　小型

●スチーム方式加湿器（加熱式）　　やけどに注意
    水を沸騰させるので清潔。熱い蒸気が出るので幼児・お年寄りがやけど。沸騰のボコボコという音がする。能力が高く、安価
    やけど危険性・電気代の高さにもかかわらず、使用していて最も快適なのがスチーム式。冬の寒い日に暖かい蒸気は、肌に心地よい
    ペットボトル加湿器(= 加熱式) 、転倒時にやけど事故（国民生活センター報告）。スチーム出口の温度を抑えた機種もあり　

●気化方式の加湿器 (ヒーターレスファン式）　
加熱せず、送風機で蒸気を作って飛ばす。送風の音がする。省エネ性抜群。フィルター交換にはお金がかかる。熱い蒸気は出ず、やけどしないので安心。加熱しないので、ひんぱんに清掃しないと、菌が部屋に散る（水蒸気<粒子が小さい>なので、超音波式ほどではない）。能力が低い

●気化方式の加湿器の改良型　　★進化したのでおすすめNo.1　
比較的小型なのに強力な改良型(Panasonicなど)　＝吸水性が高い特殊フィルターを2011に開発、ファンは静音化
　従来の気化式は「省エネだがあまりに非力で、(大型にしないと)実用的ではなかった」。しかし新フィルターの開発で効率が良くなり、「省エネかつ強力で実用的な加湿器」に進化　
→省エネ、強力、静音　　ただし冷風が出てくるのが気化式の特徴なので、寒がりの人はハイブリッドを

Panasonic 気化式加湿器(改良型)　

●ハイブリッド方式（複合式）　　おすすめNo.2　　迷う場合はこれが無難
熱い蒸気は出ず、やけどしづらいので安心。価格が高い。フィルター交換にお金がかかる。電気代はまあまあ。最も一般的な加湿器

●超音波方式　　（おすすめできない）
超音波で水を振動させ、霧にして飛ばす。安い。加熱しないので、ひんぱんに清掃しないと、菌を部屋に撒き散らす。
水道水中の塩素が、超音波の振動の熱で分解されてしまうため、殺菌効果がなくなり、雑菌などが繁殖しやすくなる
霧を作って飛ばす方式であり、大きな水の粒子を飛ばすため、ひんぱんに洗わないと雑菌を空気中にばらまき、アレルギーに（加湿器病）。　秋田県薬剤師会　加湿器病に御用心
大手メーカーは撤退
加湿器病は、専門用語では過敏性肺臓炎と呼ぶアレルギー性の肺の病気。症状は、風邪と似た咳・発熱・悪寒・全身倦怠感

・空気中に浮遊するウイルスやアレルギー物質(ダニのふん・死がい、花粉)抑制のイオン機能がついた加湿器もある。アレルギー物質については、大人の事情で「アレル物質｣という造語で呼ぶメーカーも

・メーカーによって表記が違う　加湿「器」と加湿「機」

■加湿機選択のポイント

・省エネ性は気化式(改良型)が抜群　ハイブリッドの一割程度

消費電力(W)　Panasonic 2011カタログより作成
電気代は、一か月につき、ハイブリッドが千円とすれば、気化式は百円
*実際には、ハイブリッドも湿度がかなり上がれば、気化のみの省エネ運転に移行する

・若い大人だけなら、スチーム式が安価で清潔　　電気代は高い

・小さい子ども・高齢者がいる場合

熱い蒸気が出ず、やけどをしないタイプを選ぶ　

×スチーム式　　もしも使う場合は、子どもの手が届かないところへ設置。スチーム式である程度安全性を高めた機種も探すとある(本体表面での温度を40度程度に抑えた機種など)　

倒れにくいものを(重心が低い形のもの)

チャイルドロック付きのもの(子どもがスイッチをオフにしてしまう、など)

・清潔度が高いタイプを選ぶ　　×超音波式は手入れをよくしないと不潔に

・清潔が最優先の場合は、スチーム式。唯一のきちんと清潔な加湿器。それ以外の方式は、きちんと手入れをしないと、部屋中に雑菌をまき散らしてしまう

・寒がりな人はスチーム式(暖房効果)かハイブリッド。気化式は冷風扇なので部屋の温度が下がる(気化熱を奪う)

・節約したい場合は、フィルター交換が不要か、長期間交換不要なものを
    ハイブリッド式でも、「10年間交換不要」といった超寿命フィルターが開発されている。ただし一日５時間使用として計算
    フィルターは汚れると水を吸い上げなくなるため、加湿できなくなる　→クエン酸でつけ置き洗いが必要　(水道水から析出する、石灰のような炭酸カルシウムは、クエン酸でよく溶ける)
    「フィルター交換不要」をうたっていても、やがて汚れると目詰まりしたような感じになるので、手入れの手間はかかる
　

・忙しい人は、手入れのラクな機種を
各社のパンフには「お手入れ　ラクラク」などと書いてあるが、取扱説明書を読んでみると、結構時間がかかる。フィルター部分が大きく立体的なものは、つけ置き洗いになるので時間がかかる。押し洗いできるタイプのものは、比較的ラク

Panasonicの気化式加湿器(改良型)では、フィルター(手前中央、押し洗い)が吸水度向上、省エネのまま静音化　　

・使用する部屋の大きさと能力がマッチするものを選ぶ　　

能力が足りないと、インフルエンザ予防に必要な湿度に達しない

能力が足りないと、いつまでも稼働中になり、一日中音がうるさい

・うるさい加湿器はどれ？　静音性の比較

デシベル　
0----------10----------20----------30----------40-----
       超音波式　気化式　ハイブリッド　スチーム
       振動音　　扇風機　　ドライヤー　　やかん　　
    聞こえない　夜の公園　ささやき　　昼の公園　
       安眠　　音がする　　眠りにくい　眠れない

超音波式　　　　音が聞こえないはず。「ガラガラ」やモーター音が聞こえるというレビューも
気化式　　　　　扇風機のような音(送風ファン)
ハイブリッド式　温風ドライヤーのような音。省エネ・おやすみモード時は気化式になるので静か
ハイブリッドの32デシベルぐらいは、日中に仕事・家事をするぶんには気にならないレベル
スチーム式　　　沸騰時は「ボコボコ」。加湿が早く、すぐ静かに
(メーカーカタログなどから、おおまかに作成)
目安です。実際には、ハイブリッドよりうるさい気化式などもあり、カタログでの確認が必要

加湿器は寝室にも置くものなので、音に敏感な場合はカタログでdBを確認

----「非常に静か」---30dBささやき---40dB「静か」 ----50dB ----60dB「やかましい」

■イオンの空気清浄化機能　→別ページの特集へ

シャープの「プラズマクラスター」、パナソニックの「ナノイー」など、どれがいいのか？　効果があるのか？などを簡単にまとめたページ

■理想の加湿器とは…

気化式(の強力改良型)　またはハイブリッド式　＝省エネ (維持費が安い)

水受け皿などにも除菌機能(ぬめりやすい)　＝　清潔

メンテが楽　掃除がラク(フィルターは押し洗い可能)

フィルターが不要、または交換が何年も不要

小型・軽い　でも水タンク容量はたっぷり

運転音が静か。うるさいと安眠できない

加湿能力が部屋の大きさにマッチ　　500 ml/hは洋室14畳、700 ml/hは～洋室18畳

複数の自動加湿モード　　「控えめ自動加湿」モードも欲しい。普通の自動モードだけでは、窓際などが局所的に高湿度となりカビが発生することもあるため

ウイルス抑制機能(プラズマクラスター、ナノイーなど)　　あればベターだが、期待しないほうがいい

価格が安い

正確な湿度計が付いている　
(ただし湿度計は一般に誤差が大きい。また、デジタル湿度計は表示が数時間遅れるらしい)

お手入れ時期ランプは便利、内部で水が腐ったままにしないように。自動掃除など便利機能

水タンクは内部内蔵ではなく、外からさっと持ち上げられる構造　(フタをいちいち開けなくても済むのがベスト。フタが取れやすい機種あり)

水タンクの残量が、外見から一目でわかる

空気の吸い込み口は前面または側面に　後ろにあると、加湿器を壁際に設置できない

水トレイなど、メンテ関係も、すべて前面から外せるように設計。後ろにあると、メンテのたびにずらさなくてはならない

丸みを帯びたデザイン　ぶつかってもケガをしにくい

部屋から部屋への持ち運びがしやすいような、取っ手、または指をかけられるくぼみがあるとベター

チャイルドロック付き(３秒押し)　　　

幼児のいたずら防止には、上部の蒸気排出口に、ネットをかぶせられる構造だとベター。幼児は排出口の隙間に、クレヨンなどを落とし込んで面白がるため

上に幼児が乗れないような形状。最上部は、平らにせず、少しだけ斜めのデザイン。平らだと、幼児がその上に乗り、倒したり、踏み台として使われてしまう (高い所に置いてある、危険なものに手が届くようになってしまう)

上に幼児が乗って遊んでしまっても危険でない強度　(どんな安全対策をとっても、必ず乗ったり倒したりするので)

幼児が倒しても、水がもれにくい仕組み

表示ランプがあまりに明るいと、安眠しにくい。暗く調節できる機種もあり

デザインが美しい。「もしもアップルが加湿器を作ったなら、こうなる」というようなものを

あとは遊び心
送風を利用した風車や浮遊モビール。水タンクを透明にして、給水時に上昇していく泡が見えるオブジェ化。泡が上昇するときのポコポコ音を生かした何か。間欠加湿(加湿がやんだり再開したりの音がリズミックに変化)。金魚の水槽のような外見。水タンクを利用した間接照明を兼ねる、とか

■加湿機　特色のある製品集

●おすすめNo.1 　パナソニック加湿機　　気化式(改良型)　ナノイー
省エネ抜群、静音なのに、強力・手入れしやすさなどのバランスがよい万能型　運転音は改良され小さくなった　ナノイー発生ユニットは交換が不要　そつのない万人向き管理人愛用
この改良型の登場は2011年　Panasonic 気化式加湿機シルバー FE-KXG07-S 　　
2012/9マイナーチェンジ　FE-KXH07など　「明るさ控えめ」ボタン追加(表示ランプを暗くでき、ピピ音は消音できる)　
2013/9マイナーチェンジ　新製品の番号にはJが付く：FE-KXJ～　　運転音を抑えた自動加湿｢おやすみ｣モードを追加

・短所：　控えめの自動加湿モード（弱自動）がないため、部屋が濡れてしまう。→窓に結露、部屋の隅に黒カビが発生。ひどい場合には手動の「弱」運転にするしかない

●おすすめNo.2 　シャープ加湿機　　ハイブリッド式　プラズマクラスター
清潔最重視＝プラズマクラスターは比較的には最有力、ただし…　　手入れは手間がかかる　運転音は比較的静かきれいな空気を手軽に得たい人に
(本格的に空気をきれいにしたいなら「空気清浄機」)

●バルミューダ　加湿器　　スティーブ・ジョブズが作ったならばこんなデザイン？

●三菱電機　　ユニークな気化式加湿器「ラクリアミスト」
高性能なのに電気代が安い(他機種は省エネモードがあるが性能も低下)　手入れが比較的ラク　　ただし手でネジをはずす　フィルター交換不要　大型タンクなので台所の低い蛇口からは給水しにくい　本体も気化式なので大型(他メーカーよりは小型)　蒸気は冷風なので部屋がひんやりするため、家庭よりはオフィス向き　ひんやりするため暖房を強くする場合は、暖房機の電気代がかかる　イオン機能はなし　三菱電機サイト　

●「パーソナル保湿器」
美容を前面に打ち出した。睡眠中に、顔にだけピンポイントで低温蒸気を当てて保湿。
部屋全体を加湿するとカビ・結露に悩まされるため、顔だけ当てるならば湿度が上がり過ぎず、良いかも。美容・受験生向けに宣伝

●ダイニチ　　
静かさ業界トップの専門メーカー　　加湿器の音が気になって眠れない……静かな眠りを大切にする人に静かさ比較は2011/7、顧客アンケート2009で９割が「(やや)静か」　

●タイガーのハイブリッド式加湿機　
比較的低価格なのにバランスが取れている　フィルター交換不要　手入れがラク　「プラズマで除菌」タイプもあり

●パワフルな加湿を求める方に　さらに清潔、低価格　
スチーム式　＝　子ども・高齢者がいる家庭には不適。改良型で蒸気温度を40Cほどに抑えた製品もあり

●そのほか　加湿器全体から

■どの性能の加湿器が必要か計算

必要な加湿量計算　(パナソニック)　　
集合住宅・オフィス・教室など、タイプに合わせ、ぴったりに必要な性能を計算。１時間あたり必要な加湿量を「566 mL/h」などと表示してくれる

温・湿度計